最大の出来事
「そ、そうだ。来週になったら、テストが返ってくるんだな・・・・・・」

 別の話題にしたものの、友希は気持ちが沈んでいる。

「終わったばかりなんだから、そんなことを考えるのはやめようよ」
「そうだよ」

 育実と一桜が友希に言うと、何度も頷いた。

「こうやって、四人で外食するのは初めてじゃない?」
「そうだよね。私、阿佐部君と食事をするのは初めてだよ」
「俺だけ?」

 育実は何度か一桜や璃穏と食事をしたことがある。

「楽しみだね」
「育実、テスト中にお腹が鳴っていなかった?」
「な、鳴っていないよ!」

 育実は首が取れてしまいそうなくらい、横に振っていた。

「本当?育ちゃん」
「だから違うの!」

 それを見ていた友希が笑ったので、育実は友希に奢るように言った。

「あ!俺の分もお願いね。阿佐部君」
「私も!」
「お、お前ら、ふざけんな!」

 三人に対して、友希は一人ひたすら怒っていた。
 ハンバーガー店へ行き、四人で食事をしていたとき、それぞれ呼び方が変わった。
 一桜と友希は互いに下の名前で呼ぶようになった。璃穏は友希のことを下の名前で君をつけて呼ぶようになり、友希は璃穏を下の名前で呼び捨てにするようになったので、友情がさらに深まった。
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