最大の出来事
 席へ戻ろうとしたとき、友希や他の男子達が璃穏に話しかけてから、それぞれ席に着いた。

「何を話していたの?」
「ん?ボウリングに誘われただけ」
「そうなんだ」

 璃穏は友希達と行くことにしたので、日曜日は家にいない。

「やったことはある?」
「家族に連れられて、何度か行ったよ」

 璃穏が一瞬だけ険しい顔をしたように見えた。

「育ちゃん」
「は、はい!」
「日曜日、夕飯までには帰ると思うから、作って待っていて」

 もしも、遅くなりそうだったら、電話かメールをするように璃穏に言った。
 日曜日、いつも家にいる璃穏が今日はいないので、家の中がいつもより静かだ。

「育実、元気がないね」

 育実に声をかけたのは母親。

「璃穏兄ちゃんがいないからだよな?育実」
「もう、空夜!」

 母親は熱いコーヒーを飲みながら、天気予報を観ている。
 今日の天気は夜から雨が降るみたいなので、天気予報が信じられなかった。

「こんなに晴れているのに・・・・・・」
「璃穏君、傘を持って行った?」

 母親は心配そうな顔で空夜を見ると、空夜は首を横に振る。

「持って行っていなかったな・・・・・・」
「大丈夫だって。帰ってきた後に雨が降るよ」
「それだったらいいけど、怪しいわね」
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