君がいないと落ち着かない

この日は、いつもと違って荷物が多いい。今日から2泊3日の宿泊研修に行くため、いつもよりも準備に戸惑った。
「じゃあ、行ってきまーす」
荷物を整えた忍は、アキと母に手を振った。
「行ってらっしゃい。お土産買ってこなくていいからね」
母が右手を胸の辺りでゆっくり振りながら言った。
忍は手を挙げただけの返事をして、駅までの道を荷物の入ったエナメルを肩に掛けて歩きだした。

お土産を買って来て欲しい時、母は必ずあの言葉を言う。
本当に買わなかった時は、母は直接は怒らず梅干しとご飯の夕食で自分の憤りを示し、逆に何も言わ無い時に、気を利かしたつもりで買って帰ると全く興味を示さなかったりした。

最寄り駅から電車で約20分の駅で降り、ロータリーに出ると森山高等学校と描かれたバスがクラスごと、今年の1年は6組あり、1組1台で計6台が停まっていた。
バスに乗り込むと、既に数人が席に座って思い思いに時間を潰していた。


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