君がいないと落ち着かない


「れー子、おはよ」
座席の後ろから2番目の列の右側の窓側の席に座る小森怜奈に声を掛けた。れー子は弄っていたスマートフォンから目を離し、私に目を向けていった。
「おはよ、眠そうだね」
さっぱりとした口調と言葉が、細見なれー子にピッタリ合っている。
「うん」と返事を返しながら、れー子の隣に座り制服のポッケから取り出した飴玉をれー子に渡した。
「どもども」と、れー子は受け取った。続いて、既に前の席で話す2人に声を掛けた。
「林!河崎!飴玉いるか!」
「「いただきます」」と返事が聞こえると、通路側にいた林が座席の背もたれの上から顔を出し、手を伸ばしてきた。
そこに飴玉を2つ乗せると「ありがとうー」と言って、背もたれの奥へと姿を消した。
「おうよ」と返事を返し、息を吐いて肩の力を抜きながら背もたれに寄り掛かって目をつぶる。3人の声や周りの音が消え、忍は眠りに落ちていった。

起きたのは宿泊先に着く30分位前だった。


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