隣の席の西城くん
ルーズリーフ
私ですが。
超絶眠いです。
うつらうつら、数学の時間は寝たくない。
特に今日は新しい公式を覚える授業だから、寝たりしたら来週の授業ついていけない。
こんなことなら、昨日眠れなくても無理矢理寝るべきだった。
寝れないからって本を読み始めたらそれこそ眠れなくなってしまって、つい全部読んでしまったのだ。
寝たのは夜中の3時。
いつも11時には布団に入る健康児の私には大打撃だ。
苦し紛れに隣を見れば・・・耳から伸びる黒いイヤホンの線、それを辿っていくと昨日とは違うゲーム機。
いつものようにゲームをしている西城くんの姿だ。
この人、何時に寝てるんだろう。てかゲームばかりして、ほんとに寝られているのだろうか。
というか、トト先生の話を聞く限り、こんな不真面目極まりない授業態度なのになかなか成績はいいみたいだし・・・ゲームで勉強しているとか・・・いやそんなまさか。
・・・・・・ん?
いつのまにかこちらを見ていた西城くんが、口をパクパクさせてなにかを伝えてくる。
・・・あぁ『おやすみ』かな。
そうしたいのは山々だけれど、そんなわけにはいかないんだよ西城くん。
私の脳みそはあなたと違って、一回の授業を蓄積させていかなければいけないんだ。
と、若干の皮肉を込めた目で訴えながら小さく首を振れば、また相手の口が動く。
・・・『おやすみなさい』
そんなマイペースな相手の、真ん中分けの髪がサラリと額に落ちるのを見たら、妙に眠たくなってきた。
ボーッとしてきた頭で黒板の方を見ても、もう眠たくて先生の言葉が頭に入ってこない。
くそぅ・・・限界。
黒板の文字がぼやけて見えることを確認した私は、西城くんの言う通りに諦めて机に突っ伏したのだった。
あ、腹いせに西城くんのノートを見せてもらおう。
ゲームばかりしてノートを取っていないであろう西城くんに「ノート貸して」と言ってやろう。
・・・そんな意地悪を考えたところで、私の思考は沈んでいった。