ドレミで愛を奏でよう
てか、


あれ?


この女…よく見たら…


音色??


俺は少し角度を変えてちらりと女の方を見た。


やっぱり音色。


眼鏡と髪をほどいていて、後ろ姿では気づかなかったけど…


音色はなにやら絡んでくる男を前に、財布を取り出している。


おいおい…。


「おい。なにしてんだよ」

二人が一斉に俺の方に視線を向ける。


よくみると、男に腕をつかまれている音色。


拒否れよ。


「音色、遅刻しちゃうよ?行こうか」


俺はいつもの女たちに見せる笑顔で笑った。


…心なしか音色が怖がってる気がするけど…


…まぁ、いいか。


呆然とその場に立ち尽くす男に「俺の彼女に手ぇ出してんじゃねぇよ」と言い捨て、俺は音色の腕をつかんで歩き出した。 
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