闇ノ花




しかし、こんなに殺気が感じられるし、しかもこんな森の中だ。



通行人はまずないだろう。



私は咄嗟に顔を布で多い、苦無を二つ右手に持った。



辺りを見回しても、誰も見当たらない。



しかし、誰かの息遣いが、肌ですぐに感じ取れる。



目だけを動かし、様子を窺う。



その時……シュッ!と、苦無が私に向かって勢いよく飛んできた。



反射的に、飛んできた三つの苦無を左手に掴む。



そして更に二つ、私の顔の横すれすれをヒュンッ!と勢いよく通り過ぎ、真後ろにあった木にグサッと刺さる。



う、うわ……。



久し振りの強敵かもしれない。



だけど戦い甲斐がある。



私のやる気は一気に増した。



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