闇ノ花




苦無を両手に持ち、男を見据える。


男は、苦無を視界に入れるなり驚いたような表情をしたが、すぐにまた笑みを浮かべた。





「……お前、忍か」





男はそう言うと、刀を振り上げる。


よけようとしても着物だから動きづらい……!


そう言えば山崎も言っていた。


自分達にあるのは、不利な状況が多い、と。


私はしゃがみ込み、男の足を狙って苦無を振り上げた。


だけど……また、自分の意思に逆らい、手が震え出した。


苦無は風を切るだけで、男と少し距離が出来てしまう。


私は……戦えなくなってしまったの?


だけど、今はそんな事を考えている場合ではない。


命がかかっているのだ。




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