闇ノ花
私は笑いを堪えながら、山崎の側に近寄る。
「ね、もう一回、スルーって言ってみて」
「断る。二度と言わない。俺は日本語できちんと“流す”と言う」
「……えぇ⁉つまんない!」
「騒ぐな。どこまでアホなんだ」
「アホですみませんねーっ!」
正直に言うと、少し……私は笑いたかっただけだった。
辛い時こそ笑って、ほんの少しでも忘れたかった。
またいつものようにくだらない会話をして、夜は更けていった──。