闇ノ花



私は、そう返事をしてから藤堂さんの事を話す。


あの、戦いぶりを……。


刀がなくなっても、体当たりしていた事を。


すると、沖田さんは驚いたような表情をしてから、涙を流した。





「私が、教えたんだ……」


「……えっ?」


「刀を損じたら、素手でも戦えと。戦では、誰も待ってくれないのだと……」


「……っ」


「平助は……本物の武士ですよね」


「そんなの、当たり前じゃないですか……っ」





そう言いながら、私の頬の上にも、涙がこぼれ落ちた。



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