闇ノ花
『ねぇ、名前なんて言うの?私、芳乃!』
『よしの……俺は、すすむ』
『へぇー、すすむ君かぁ!』
──ドクン……
え?
今、何て言った?
“すすむ”……?
それから二人は、鬼ごっこをしたり隠れんぼをしたりして、遊んでいた。
だけど……その時だった。
鬼のような形相で、お爺ちゃんが庭に飛び出してきたのは。
お爺ちゃんは“すすむ君”を見るなり、大声を張り上げた。
『──出てけぇ!山崎家の者は、子供であっても決して中に入ってはならぬ!』
そこで、プツンと夢は途切れてしまった。