闇ノ花




『ねぇ、名前なんて言うの?私、芳乃!』


『よしの……俺は、すすむ』


『へぇー、すすむ君かぁ!』





──ドクン……




え?


今、何て言った?


“すすむ”……?


それから二人は、鬼ごっこをしたり隠れんぼをしたりして、遊んでいた。


だけど……その時だった。


鬼のような形相で、お爺ちゃんが庭に飛び出してきたのは。


お爺ちゃんは“すすむ君”を見るなり、大声を張り上げた。





『──出てけぇ!山崎家の者は、子供であっても決して中に入ってはならぬ!』





そこで、プツンと夢は途切れてしまった。




< 470 / 522 >

この作品をシェア

pagetop