闇ノ花




山崎の部屋は……多分、ここの下。



縄を取り出し、自分の腰に巻き付ける。



屋根の上にある僅かな隙間に、縄の先端を結び付け、それが解けないか確認をする。



そして……自分の体を宙に放り出し、横壁に足を付いた。



この縄が切れれば、私は真っ逆さまに落ちてしまう……。



早く、行かないと。



それから、山崎の部屋のすぐ側まできた。



この壁の向こうに……山崎がいる。



目を瞑り、息を整えた。



そして……目を開いた私は、その壁に取り付けられている小さな扉から、山崎の部屋へと入っていった。



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