闇ノ花
相手はそう言うと、あ、と小さく声を上げた。
そしてパタパタと足音が遠ざかり、今度こそ一人になってしまう。
……と思いきや、またその人は走ってきて、こう告げた。
「今すぐ来いって、副長が言ってたらしいから行こう」
え……。
また、尋問されるの?
嫌だけど、いつかは越えなければならない壁。
「……分かりました」
ガラッと扉を開く。
すると、金平糖をくれたであろう人が目の前に立っていた。
無邪気な子供のような顔をしている。
「よし、行こう」
私は頷くと、その人の後ろを追い掛けたのだった。