Street Ball
「俺の家じゃなくても、お前等は呑めれば何処でも良かっただろ。」


俺の言葉など聞こえていないかのように、鉄は口角に残った泡を手の甲で拭った。


「まぁ細かい事は気にすんな。」


「そうだそうだぁ〜気にすんなよ双英!」


嗜むという言葉が似合う呑み方の泰二と、既に酔っぱらっている翠が続いた。


鉄はと言えば、買ってきたスナック菓子をつまみにして、もう既に一本を呑み終えたらしい。


未だ残っている不満をビールで飲み下し、脇に片付けられたテーブルに手を伸ばす。


二人分の場所を取る鉄と、翠の加えた計五人分ではこの部屋が狭すぎる為、小さなテーブルは灰皿だけを残して鉄に片付けられていた。


スピリットの底を一差し指で弾き、顔を出した一本を引き抜く。


「ほら。」


泰二に差し出されたライターの着火石を擦り、火を付けて深く煙を吸い込んだ。
< 157 / 410 >

この作品をシェア

pagetop