Street Ball
五杯目を呑み終えた時には、脳内に靄がかかったようだった。


隣で頬を赤らめる碧は、微笑から蠱惑的な表情で、黒みがちな瞳を潤ませている。


撓わな胸を押し込めたチューブトップから、三日月のネックレスが妖しい光を放つ。


交わされる会話は途切れ途切れだったけれど、本当はそんな事すら必要なく感じる。


それは最小限で、相手の事を知ろうというステップに過ぎない。


「昔ね、好きだった人に似てるの…だからかもしれないな。」


熱を帯びた頬にかかる黒髪。


堪らなく艶っぽく、それでいて理性の薄布を纏っているよう。


いっその事、アルコールの勢いで理性の薄布を剥ぎ取ってしまいたくなる。


俺の横顔を一頻り眺め、ソルティードッグを口に含む。


形の良い唇が、残ったアルコールを乗せて、寸陰輝きを放っていた。


俺の理性が事切れるのは、時間の問題かもしれない…。
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