Street Ball
先にコートへ入っていた二人を見つけ、翠を店内に残して俺もコートへ向かう。


「よっ、どうだ?」


バッシュの紐を結びながら、相手チームを観察している泰二の脇に腰を下ろす。


試合を重ねていく毎に、ソールの縁が削れていくジョーダン。


体育館の使用とは違い、思っていたより消耗度は激しい。


それでも、未だ未だこのバッシュは履くつもりだ。


履き心地と珍しいカラーコンビネーションが、いたく気に入っている。


「どうって言われると…正直返答に困るな。これといって目立つ選手も居なければ、派手なプレーも見れない。」


「まぁ、未だ試合前だから、手の内を見せてないだけじゃないか?」


先に紐を縛り終えても浮かない表情の泰二は、じっと相手チームを見つめている。


「…もしかしたら、今までで一番厄介なチームかもしれない。試合が始まってみなくちゃ、はっきりとした事は言えないけどな。」


そう言って、鉄とシュート練習に行ってしまった泰二の背中を見つめながら、俺もジョーダンの紐を縛り終えた。
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