Street Ball
大きく揺さぶられた長髪を抜き、ゴールへ向かう。


和志がブロックに来るかと思われたが、鉄がその巨躯を目一杯使って動きを押さえていた。


「夏目!行け!」


リングまで一直線に開けた道。


フリースローラインから、長髪を抜き去った勢いをそのままに飛んだ。


宙を泳ぐ中、残り二秒を叫ぶギャラリーの声と、翠の声が聞こえた気がした。


それは曖昧なものだったけれど、確かに俺の耳には、名前を呼ぶ声が聞こえたんだ。


残り時間一秒。


頬を伝う汗が、後方へ流れていく…。


泰二が俺に繋げてくれたボール。


鉄が作ってくれたリングへの道。


後押ししてくれた翠の声。


全ての思いをボールに込め、迫ってくるようなリングに片手で叩きつけた。


ボールが鎖のネットを揺らしながら通ったその刹那、試合終了を告げるコールがDJブースから鳴り響いた。


33対34。
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