Street Ball

それだけ言って帰って行く長髪の背中見つめ、マッサージする手を止めた。


「ちょっと、彼奴の目を覚ますってどういう…それにアンタの名前は？」


「アキには会わずに帰るから、決勝で会った時にでも勇人（はやと）がそう言ってたって伝えてくれ。」


後ろ手を振って帰って行く勇人の背中を見ながら、マッサージする手を動かし始めた。


あの掴み所のない笑顔のアキに、一体何が有るのだろう。


脹ら脛の痙攣は中々止んでくれず、泰二と鉄は支度を終えても未だ残ってくれている。


そんな時、［ＳＢ］の店内から乱暴にドアが開かれ、ジャラジャラとシルバーアクセを身に付けた男が現れた。


「おい、お前！ロンさんが呼んでる。逃げんなよ？」


薄気味悪い笑みだけを残し、その男は［ＳＢ］の中へ戻っていった。


試合後の事は試合後に考えれば良い…か。


後回しにしてたツケを払うのを、試合後の余韻ですっかり忘れてた。


「［ＢＵＺＺ］の大将が夏目に何の用だ？心当たり有るのか？」