Street Ball
俺と碧の事。


[SB]の裏で行われていた事実。


碧の事で弱みに付け込まれ、ロンに八百長話しを持ちかけられた事。


富さんの過去。


警察に密告したのは富さんだと告げた時に、怒りを込めた鉄の拳が階段を叩いた。


泰二は一つ一つの事柄を正確に理解しようと、ただ頷きを返してくる。


全てを話し終えた時には、皆で口を噤んでしまっていた。


俺と碧の関係に驚き、[SB]の裏側を知って失望し、裏切られた事に怒りを感じている。


ついさっきまで、俺も頭の中で同じ感情が芽生えていっていたので、口を噤んだ二人の様子が理解出来た。


次々と新たな感情にバトンが渡っていき、整理がつかないんだ。


一人のプレイヤーの、輝いていた栄光の日々と地獄のような挫折の日々。


富さんの一生を綴るに、決して書き忘れる事の出来ないもの。


それを一度に聞かされれば、十六歳の俺達に直ぐ意見を出せと言うのが無理な話しだ。


人の一生にどうこう言える程、俺達は大人でもないのだから。
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