抱く関係
思わぬ再会



『大学受験の決起集会! ってことで南北塾36期のみんなで同窓会を開こう!』


本宮夏希からそう連絡が来たのは一週間前だった。

あのとき、俺は行く気なんてなかった。でも俺はこうして約束の場所に来てしまった。

約束の場所には本宮瑞希がいた。中学のときと変わらず黒ぶち眼鏡をしている。

「瑞希」
「あ! 蓮くんだ!」

本宮はニコニコして俺に近づいてくる。

外面も中もあまり変わっていないようだった。

「蓮くん来るとは思わなかったよ!」
「俺も行くとは思わなかった」
「えぇ! それどういうことよ!」

すると俺らの近くに高身長の青年が近づいてくる。

「……蓮。……瑞希」

俺はその男を見てからハッと我に返った。

「明久?!」

近江明久は低身長でぽっちゃりしていた中学時代とは打って変わって高身長の寡黙な好青年に変わっていた。

「蓮……。久しぶり」
「明久久しぶり!」

もの静かな話し方も変わらなかった。

「……二人しか来てないの?」
「あ、ええとね! 実はもう一人来てるよ!」

瑞希がそういうとおーい! と声がした。
コーヒー屋のカップを両手に持って彼女は駆け寄ってくる。

「あ、レンレンとアッキーだ!」
「佳代、瑞希のパシリやらされてるのか?」
「ううん!ちょうどコーヒーが飲みたいって二人で言ってたんだけど、みーちゃんは主催者だからここにいた方がいいかなって」
「ちょっとレン! 失礼な奴ね!」
「……みんな相変わらずだね」

明久がそういう。
確かにこの3年間集まって会うこともなかった俺達だけど、別れた日から月日が経っていないようなくらいだ。

「あ、あれじゃね?」
「みっずきー!」

そんなことを考えているうちにぞろぞろと集まってきた。

「優人! 元気だったか?」
「やー! 紗菜ー! 久しぶりー!」
「お前、守?! 坊主頭じゃない!」

みんな口々にそんなことを言う。
南北塾の36期が集まった。

「じゃあ、そろそろお店に行くよー!」

瑞希はそういうと歩き出す。
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