最低男との結婚
「んじゃ、俺帰るわ。」


そう言って、立ち上がる大輔の服を
とっさに掴んでしまう自分。



「何・・・?」


「え?あ・・・
ご、ごめん・・」



「どうしたいわけ?」



そう言いながら
再び腰を下ろし
私の方に顔を向ける大輔。



「・・・分かんない」



「は?俺ますます
分かんねぇんだけど?」


完全に呆れて

少し、怒ったような表情を浮かべている。


でも・・・・


こんな・・・机の上に
無造作に置かれた
離婚届を目の前にしたら


紙切れ一枚でも・・・


大輔の人生の中から
私という人物が消えてしまうように思えて


私という人間が

もう、いらない。

そう言われてるように思えて


「嫌・・・・」

「は?何が?」

「離婚なんてしたくない」

「そう言われても
戻る気ねぇのに
戸籍だけ放置ってわけにも
いかねぇだろ」







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