最低男との結婚

母娘

しばらく、黙り込んだ後

「優奈、本気なの・・?」


お母さんの口が開いた。


「うん・・・・」


私の返事に、少しため息をつくと


「・・・そう。
親の知らない間に・・・・
子供って大人になっていくんだもんね。
でも、早いな・・・ほんと。」


小刻みに震える手が
私に注いできた愛情の深さを物語り、

必死で、私を理解しようとしている姿は

私の事を、

大事に思ってくれてる証拠だ・・。



「優奈、1つだけ約束して?」


目を真っ赤にしたお母さんが
私の顔を、真剣な表情で見ている。


「何・・・?」


「お母さん、古い考えだけど・・・
順序を守れって言ったけど・・・
その考えは変わらないの。
ただ、結婚って
普通の恋愛とは違って
いろんな問題が重なってくるの。
知らなかった部分が
たくさん見えて、うれしい事もあるけど
見たくない部分も知る事になるから・・・
もしも・・・・
少しでも、一緒にいるのが辛くなったら・・
あなたの家はここだから、
帰って来なさい。
ガマンだけはしなくていいから・・」



それは、離婚を経験してるお母さんだからこそ

娘の私に言ってくれてる言葉であり、

逃げ道を、きちんと記してくれてる

親心なんだと・・・

まだ、大人になりきれてない私にも

痛いほど分かった。

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