けぶる緑の奥に隠した、私の愛する永遠の少年。(短編)
彼はいつものとおり、沼のほとりに佇んでいた。
激しい感情の波が、私を襲う。
思いは、溢れる。
「好き。」
私は、言った。
だけど、予想通り、彼には何の変化も起こらなかった。
相変わらすの穏やかさを、その緑色の瞳にたたえて、私を見ている。
「好き、よ。」
もう一度、私は言った。
伝わらない。切なさで、涙、あふれた。
「…?」
彼は無表情まま、小首を傾げた。
そう。彼に、この感情を理解することはできないだろうって。
そんなこと、わかっていたはずなのに。
「…っ」
くやしくて。苦しくて。
だって、私のこの気持ちは、他にどこに向かえばいいの…?

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