冷徹ドクターに甘やかされてます







「じゃあ私向こうの掃除してくるね」



「あぁ」



そう陸は手を振り、モップを手にその場を去って行った。

(…風邪のひき始めじゃなければいいけど)



「……」



一人残されたその場で、ポケットから取り出すのは車のキーについたヘアゴム

赤いハートの飾りは、午後の日差しにキラリと光る



「それ、よく眺めてますね」



「…河上先生」



そうしていると不意に声をかけたのは、後ろからやってきた河上医院の一人娘…河上先生だ



「さっきの子…及川さんでしたっけ。あの子から貰ったものですか?」



「あー…はい。医者になった頃に貰ったやつで、まぁお守りみたいなやつです」



「お守り…」



彼女の視線に自分で言っておいて何だか照れ臭く、俺は手にしていたキーをポケットへと戻す。


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