シンデレラ☆ジョブ
「バイト明日もここ?」
「うぅん、明日はラストまで『赤い屋根』なの、21時以降はつながるから」
「OK電話する」
そして、今に至る――
カフェ『赤い屋根の小さなお家』の
休憩室で、あたしは
手にした名刺を見つめていた。
あの人
平井聖人、さんは
昨日あの居酒屋にいて
あの会話を聴いていた、らしい。
「……」
どうする? あたし
どうする?
バイトは終わってるのに
着替えもそこそこに
あたしは名刺を持ったまま
グルグルと考えていた。
♪♪~ ♪~ ♪♪♪~ ♪~ ♪♪~
携帯の着信音が休憩室に響く。
あっ☆ 里美からだ
あたしは
あわてて電話をとった。
「もしもし?」
『あっ、美乃里? 今大丈夫?』
「うん大丈夫、……で、どうだった?」
今日あったこのヘンなことを
真っ先に話したかったけど
なんせ1ヶ月の
ホームレス生活がかかってるから
「……」
緊張してきた……。