君と歩いていく道
目が覚めたら、病室にいた。

担当だと名乗る男がいるだけの、何もない部屋。
きっと今日も、彼はやってこない。忙しいのだし、仕方がない。呆れて捨てられても、仕方がない。
彼が、自分の欠けた部分だと思っていたのに。


「起きたか。」


手に温もりを感じた。

「みつ・・・ひろ。」

「ああ。」

疲れた様子など見せてはくれなかったが、目の下にうっすら隈が出来ている。
ずっと起きて、真崎の目が覚めるのを待っていたのだろう。

真崎の頬を涙が伝う。
握られた手は確かな温もりを感じていて、そこに紺野がいることを伝えている。


「すぐに来られなくてすまなかった。」

「光博、ごめん。」

「謝るな。」

「ごめん。」


本当に寝ているだけなのかと心配して、何度も紺野は呼吸を確認した。
大月も大丈夫だと言ったのだが、心配で仕方がなかった。

このまま起きないのではないか、と。

抱きしめた体は、折れてしまいそうなぐらいに痩せ細っていた。
お前は謝る必要などないと言い聞かせても、真崎は紺野の腕の中でしばらく謝り続けた。


「玲。」


紺野は真崎の体を少しだけ放し、向き直って座らせた。

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