chocolate

015

しんとした部屋が優しかった｡
少なくとも…私には｡

冷静になってみても…
私は中西課長が好きだった｡
想うだけの恋じゃなくなる｡

…とにかく眠ろう｡
明日は休みだから､うんと｡

柔らかい唇も目も
息遣いも…体温も…
誰にも言えない恋｡

初めてｷｽした日を思い出すと
あの頃と今は同じに思えた｡

初めての恋人…
初めて手を繋いで歩いて
初めてｷｽをした日…

意外と冷静だった｡

ただ熱くなるｶﾗﾀﾞが不思議で
深く眠ったのを覚えている｡

そして眠る前は､
自分のｺﾄだけを考えていた｡

今も…
課長のｺﾄや奥ｻﾝのｺﾄ
会社や友人や家族や…貴司のｺﾄは
考える時間を作らなかった｡

自分のｺﾄだけ｡