chocolate
017
仕事帰りの中西課長の匂いも
優しいまなざしも…

奥サンだけのものだと思っていた。

柔らかい唇も温かい舌も
私のものではないけれど…
私の方が虜になってしまう。

「課長…私…
…大丈夫ですから…。」

唇が触れるのをやめると
見つめ合うことを気付いたら
ずっと…続けていた。

そしてまた、キスをされた。

何も言うなということだろうか。
それとも…言わなくても…
わかってくれているのだろうか。

私は、課長を私のものにするとか
奪うとかという気持ちは無く…
ただ…奥サンから少し
お借りしているだけ…。

ちゃんと分かっているから
大丈夫ですよって…
言いたかったのに、言えなかった。

舌が絡まるとうまく話せない。

抱きしめられた手がいつか…
離れて行くってことも…
ちゃんと分かっているから。
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