chocolate
「ごめん。亜希…送るよ。」

私はきっとこの言葉を
これから何度も聞くんだろう。

それが不幸でもないけれど
何度もごめんを言わせてしまう。

だから…引きとめないことを
今、決めた。

「はい。ありがとうございました。」

なるべく笑顔で…。

キスすることをやめても
見つめ合うことをやめても
手をずっと握ってくれていた。

きっと…奥サンも。

いつものポストの前で
車を停めてくださって…
オヤスミのキスをくれた。

私が淋しくならないようにと
中西課長も考えてくれてる…
ような気がしていた。

なんとなく、話してくれなくても
自分なりに理解していた。

「亜希、また明日。」

課長の声は、とても、愛しかった。
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