夏色の約束。~きみと生きた日々~


大好きな、彼女……。


可愛い彼女………。


その響きが、なんだか恥ずかしいような嬉しいような、なんともいえない気持ちになった。


「菜摘ちゃん。私、ちょっと碧のパパと菜摘ちゃんのママと花瓶のお水変えてくるわね」

「え、お水変えるのはお前だけでいいんじゃないのか?」

「あなたは黙ってて!全く、もっと女の子の心を知りなさいよね。……あ、菜摘ちゃん。もし何かあったら、ナースコール押してくれたらいいからね」

「……えっ、……あ、はい」

「まあ、お水変えるだけだから、少しで帰ってこれると思うけど」


あおちゃんのお母さんはそう言って、なつを見て静かに微笑んだ。


だから、なつは顔を真っ赤にしながら慌ててコクンと頷く。


それから、なつのお母さんとあおちゃんのお母さん、お父さんは、花瓶をかかえて病室から出ていった。


今、この病室の中にはあおちゃんのなつのふたりだけ。


その状況に、なぜだか分からないけどドキドキしている自分がいる。


……バカみたい。


ふたりきりだからといって、前みたいに手をつないだりキスをしたりするわけじゃないのに。


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