夏色の約束。~きみと生きた日々~
よし! 急がなきゃ。
あおちゃんが待ってる!
慌てて窓を閉めると、なつは真っ赤なランドセルを背負い、図書館で借りた本が入っているうさちゃんの手さげ袋を持って部屋を飛び出る。
「お父さん、お母さん、行ってきまーす!」
まだリビングでコーヒーを飲んでいるお父さんと、キッチンで洗い物をしているお母さんにあいさつをすると、なつはダッシュで玄関に向かった。
そしてお気に入りのピンクのスニーカーを履いてから扉を開けると、そこには───。
「………っ」
すっかり少年らしくなった、あおちゃんの姿。
「なっちゃん、おはよう!」
背はなつより少し高くて、寝ぐせつきの髪の毛は、島の風に揺られてふわふわしている。