夏色の約束。~きみと生きた日々~


「ねぇねぇ、菜摘ちゃん!」

「あ、花鈴(かりん)ちゃん! そんなに興奮して、どうしたの?」


この島にはなつの同級生が13人しかいなくて、みんなが友達のようなもの。


男子も女子もみんな仲が良くて、休み時間はいつも賑やか。


そして今日も……。


算数の授業の準備をしていると、その13人のうちのひとり、花鈴ちゃんがなつの背中に飛びついてくる。


「なに? いいことでもあったの?」


目をキラキラさせてなつの顔を覗き込んでくるから、何かいいことでもあったのかと思って花鈴ちゃんにそう聞く。


でも、なつの質問に笑顔で首を横に振る花鈴ちゃん。


じゃあ、なんの用なのかな?


なつが不思議に思っていると、花鈴ちゃんがなつの耳元に顔を寄せて、こそこそっと呟いた。


「あのさ、あのさ。 菜摘ちゃんと碧くんって、付き合ってるの?」

「……は!?」

「噂になってるよ? 菜摘ちゃんと碧くんはずっと一緒にいるから、ふたりは付き合ってるんじゃないかって」


な、なつとあおちゃんが付き合ってるって?


いや、確かにずっと一緒にいるけどさ。


「で、本当のところはどうなの?」


花鈴ちゃん……。


目が輝きすぎだよ……。


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