夏色の約束。~きみと生きた日々~


そこまで考えてから、なつは朝の出来事を思い出した。


……ちょっと待って。


なつ、あおちゃんに“綺麗”って言われた時、どんな気持ちだった……?


おでこをコツンってされた時、あおちゃんのことどんな風に思った……?


考えれば考えるほどに、朝の出来事とその時の気持ちを鮮明に思い出してしまう。


もしかして、なつは……。


「ほら、菜摘ちゃん。心当たりがあるんじゃないの?」


目の前にいるはずの花鈴ちゃんの声が、どこか遠くに聞こえる。


───その時。


ガラガラっと扉の開く音がして、大きな笑い声をあげながら、クラスの男子たちが教室に入ってきた。


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