夏色の約束。~きみと生きた日々~


小さな頃から、夏はあまり好きじゃない。


だってね、暑いし、汗がたくさん出てきちゃうし、無駄に大量消費しちゃうし。


おまけに、蚊に刺されちゃうし。


夏は楽しい行事も多いけど、やっぱりこの夏特有の暑さや蚊には勝てないよ。


………あ、でもね。


夏は好きじゃないけど、この島の夏の海は好き。


今だって、なつの目の前に限りなく広がる海は、太陽に照らされてきらきらと輝いていて。


まるで、海の上に浮かぶ特別な宝石箱を見ているみたいに、すっごくきれいなんだもん。


「なったーん!」


海の宝石箱に見とれてしばらくうっとりしていると、聞き慣れた無邪気な声がなつの耳に響く。


もう、本当になつのこと大好きだよね。


なつは振り向くより先に、そっと頬を緩めた。


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