クリスマスはメランコリー
歩道にばら蒔かれた小銭やカードを、道行く人々が親切で拾ってくれた。

店員さんも慌てながらも、かき集めてくれている。


私は恥ずかしい気持ちと申し訳ない気持ちと…

ミーちゃんに対する何とも言えない感情で、とてつもなく自分が惨めだと思った。


歩道横の木々が電球をまとってキラキラと輝いている事も…

立ち並ぶお店に飾られているクリスマスのイルミネーションも…

親切な人々も…

私達を横目で見てみぬ振りをしながら進んで行く人々も…

皆みんな、疎ましいと思った。


気分は憂鬱そのものだった―――……


「ありがとうございます…」


小銭やカードを受け取り、お礼を呟く。


バッグにしまう間も店員さんは、何も言わずに待っていてくれた。


「…ごめんなさい」

「こちらこそ」


店員さんの顔をまともに見れないままに平謝り。


「…………」

「…………」


沈黙のまま、私達は立ち尽くす。


お互いにどうしたら良いのか分からないのだ。


「あっ、雪…」


空から舞い降りて頬を濡らし、沈黙を破ったのは雪だった。


「ホワイトクリスマスですね」


店員さんがにこやかに笑う。


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