バラとチョコレート(X'mas 仕立て)


「でもカヲルさんにはずっと傍にいてほしくて、俺が一人前になって、いつか自分の店を持ったら、カヲルさんにはそこでチョコレートのお菓子を作ってもらいたいと思ってるワケ・・・です」


照れながらたどたどしく、言葉を選ぶ諭にじんわりと胸が温まっていくのが解った。


一生懸命に思いを伝えようとしてくれていることが、彼の描く未来の中に私も存在していることが嬉しかった。


愛しくて、諭をぎゅっと抱きしめた。


「ありがとう。宝石ならたくさん貰った。ここから見える1つ1つの光の粒が、私には宝石に見えるの」


諭はほっと息を吐くと、私の腰に手を回す。


諭の冷たい鼻先がマフラーから覗いた首筋に当たる。


「カヲルさんの匂いがする。甘いチョコレートの香り、俺の世界一好きな匂い」


 会いたかった。

 抱きしめたかった。

 キスしたかった。


口にしなくても、諭の気持ちが解った。


不安になったりして、バカみたいだと反省する。


諭も私を想ってくれているのに。


心はずっと繋がっていたのに。


諭が身体を引き離し、私たちは見つめ合った。


ゴールドの宝石の輝きを背景に、私たちは長いキスをした。



「初めてワガママ言ってもいい?」


「何?」


「今日は諭の部屋に泊めて」


諭の顔が綻ぶと、「よかった。帰るって言ったら、帰さないって言うつもりだったから」そう言って微笑んだ。


< 21 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop