ド天然!?魔女っ子の秘密
目を開ければ、いつも通りあたしの部屋がある。

カーテンから射し込む朝日が眩しい。

小鳥のさえずりまで聞こえてきそうな、優しく穏やかな朝。

いつも通りの部屋の中で唯一違うのは、あたしだけだろうな。

だって、ずっと––––

涙が溢れて止まらないんだもん……


プルプルプル–––––––––

ケータイの着信音が聞こえる。

相手は想像がつくけれど。

急いで涙を拭った。



「はい」

泣いていることがバレないように声に気をつける。


『私だ』

予想的中。お父様の声がケータイのスピーカーから聞こえてくる。


「お父様おはようございます」

『実は昨日の夜、"サファイア"のご当主が…』


やっぱりそのことか。

「亡くなったのですね」

『あぁ…だが、お前は一体どこから情報を手に入れた?』

「……夢で見ました。ちょうど息を引き取られる場面を」


あたしは目を閉じて思い返した。

ソフィア様が息を引き取られたあの時の、悲しみに暮れる翔太の顔を。


『そうか。それで、新しい"サファイア"の仮当主が発表された。

前当主の孫、柏木翔太だ。お前と同い年だそうで…』


「あたしと同じクラスの方です」

『そうか。これからも以前と同じように接してあげなさい』

「分かりました」

じゃあ、と電話を切りそうになるお父様を引き留め聞いた。


「青い目の奴らについてなにか、情報は……?」

『すまない。まだ情報集めている最中だ』

声のトーンが少し低くなったような気がする。

「そうですか、分かりました」

失礼します、と言って電話を切った。
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