ド天然!?魔女っ子の秘密
「それはね、翔太が、あたしのことを普通の女の子として扱ってくれたからなんだよ」

あたしの異常な過去や、魔物退治屋"ガーネット"の娘であるということも、全て取っ払って、翔太は普通の女の子として扱ってくれた。

翔太の前では、あたしはただ恋する普通の女子高生でいられたような気がするの。

だからきっと、翔太のことを好きになってしまったんだろうね。


「これで最後だから、言わせてね?」


あたしは深呼吸した。




「あたし…翔太のことが好き」




眠っている翔太からは何の返事も返ってくることはない。

分かっているけど、少し悲しくなって涙がでそうになる。

涙を必死に引き止めて話を続ける。


「あたしね、この学園に来て、初めて恋っていうのをしたんだよ」


憧れてたの。

いつか読んだあの小説に出てきた主人公のように、恋に落ちることを。


あたしには無理だと思っていたけど、今ではこうして恋できた。

それが嬉しかったの。

そのせいで醜い嫉妬だってしてしまったんだけどね。それも今ではいい思い出だ。あたしは最期だから…もう二度とそんな感情も抱くことはないだろうからね。


それにね、今でも思うの。

初恋は叶わないっていうけれど、もっと辛くなかったら良かったのにな…って。


あたしの場合、好きな人にはもうすでに相手がいて、ましてその相手があの楓花さんじゃ……全然敵わないもん。

それに、婚約だってしてるわけだし、あたしが入り込める隙なんて最初っからなかった。


せめて、あともう少しだけ…夢を見ていたかったよ。


なんて、負け惜しみに聞こえるかな?

自重気味に笑った。
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