Treasure~もう一度、恋~
「…アンタって、本当に鈍感よねぇぇぇ」




親友の陽子が、深いため息をついた。

久しぶりに、お昼休みを利用してふたりでランチをしていた。




「鈍感って、なにが?」

「だからぁ、その年下くん、絶対アンタのこと好きでしょ!」

「平澤くんが?…えー、それはないよぉ」

「…アンタの頭の上に、ちょうちょが見えるわ」




陽子は高校3年間クラスが一緒で、大学もすぐ近かった。

今は大手広告代理店で働いていて、これまた職場もすぐそば。




「で?その年下くんと付き合わないの?
 話を聞く限り、陽斗のことも可愛がってくれてるんでしょ?」

「うん、陽斗も懐いてる。」

「じゃあ、陽斗のパパになってもらえば?
 嫌いじゃないんでしょ?年下くん。」

「…嫌いじゃ、ないけど。」

「好きじゃない?」

「…」



平澤くんのことは、好きだ。

でも、それは恋とか愛とは違う気がする。



「もう、あんな風に人を好きになること…ないと思う」

「…本当に、アンタって馬鹿よね。
 今からでも、陽斗連れてって認知してもらえば?
 お金なら腐るほど持ってるでしょ?」

「そんなこと、望んでないもの。」

「…これから、父親が必要になる日がくると思うよ?
 陽斗にはなんて説明するつもり?」

「まだ、わからない。でも、嘘はつきたくないと思う。」




少しだけ、思い出す。

彼と過ごした日々

彼を、愛したこと





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