Treasure~もう一度、恋~
「そ、そんなのいないよ…考えてる暇もないし…」



小さな声で、俯きながら呟く。





「それに、今は陽斗がいちばん大切だから」





俺は、その言葉を鵜呑みにして

余裕をかましていた。

彼女と、陽斗の一番近い存在は

俺なんだって。




そう、信じていた

あの男が、現れるまで





その日を境に、有希さんと連絡が取れにくくなった。

前は、週に2回か3回は一緒に過ごしていたのに。




長身の、人を惹きつけるオーラを纏った男

どこかで見たことがあるような気がするのは、なぜだろうか



あの日、有希さんはそいつの姿を見て、ひどく動揺していた

ただの知り合いじゃない

…直感で、そう思った。





案の定

有希さんから聞かされた話は、俺に相当なダメージを与えた。




陽斗と本当の父親

嫌いになって別れたわけじゃない、恋人

…もう一度、3人でやり直すということ




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