Treasure~もう一度、恋~
ディスプレイには、見た事のない番号が表示されていた。

社内ミーティングの休憩時間、あたしは少し考えて、通話ボタンを押した。



「はい、藤村です。」

『…お久しぶりです、有希さん』

「えっと…」



この声、聞いたことがある。

たぶん、3年前に…



『村上です。…瞬の、マネージャーの』

「…ご無沙汰してます。」



やっぱり

低いけど、穏やかな声




『瞬から、聞きました。
 君と、結婚すると。…陽斗くんのことも認知して、家族としてやり直すと…』

「…はい」

『おめでとうございます』

「え」




村上さんの祝福の言葉に、思わず素っ頓狂な声が出てしまう。




『…3年前のこと、恨んでらっしゃいますか?』

「それ、は…」

『瞬には、話さなかったんですね。』

「…」

『なぜですか?』




…3年前の記憶が、少しだけ蘇る。

あの日は、冷たい雨が降っていた。






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