「カレシマチ」
「おっとー。会田さん・・・社員証。」

「あっ・・・すみません」

「ハハハ・・・いつも忘れますね。」

警備室のおじさんはいつもそうやって、私の事を笑う。

「アハハ・・・すみません」

私は食堂へ猛突進した。

私の職場は社員食堂。いわゆる・・・食堂のオバサン?

昼にはたくさんの社員さんがここへ来る。

「ねえ・・・今日はクリスマスだよねー。」

食堂のメニューも今日はなんだか豪華で・・・

私は、チキンを任された。

フライの温度は1度も間違えない。

これだけは自信があった。

「ほのちゃんのフライは1番だよね。」

食堂にも常連組がいて

とうとう、私は「揚げ物の穂香」って・・・

「何よーそのあだ名。」

私は、下ごしらえしておいた鶏肉をサクサク揚げはじめた。

「今日は14時にはあがりますから。」

私はケーキの予約時間もあって、いつもより早上がりをする。

「ヒマちゃんにこれ。」

一緒に努めてるおばちゃんがポテトサラダを詰めてくれた。

「ありがとー。」

14時ピッタリだわ。

「よーし・・・ケーキ♪ケーキ♪」

ケーキ屋に駆け込むと

店内はごった返していた。

店員さんもバタバタしてる。

ケーキの箱には番号が書いてあったけど・・・

「まさかね・・・・」

「こんなの初めて・・・」な事態が

私に待っていた。

自宅に戻った私はケーキの箱からケーキを取り出した。


「ママ・・・・

これ、違うよ・・・・」

「え?・・・」

クリスマスケーキのはずだったのに

開けてみたら

それは

「お誕生日おめでとう ゆうくんへ」

「はぁ・・・・?」

私は唖然として言葉が出ない・・・

誰かの誕生日に・・・

ゆうくん6さいって・・・

「急がなきゃ!!」

その時の私は

母性全開・・・?

それとも正義感・・・?

とにかくこれを届けなきゃって

娘ヒマリの前でアタフタしてしまった。



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