図書室での静かな恋
別れと出会い~友達
綺麗な薄ピンクの桜の木の下。
少女達はいつかまた会おうと誓い合い、
涙をこらえて手を振った。

美咲は車の中から桜を見上げた。
「もう少しで新しい家だよ。とても綺麗な家だから母さんも美咲も喜ぶよ。」
美咲の父、蒼真は自慢気に言った。
美咲は何も言わずただ桜を見上げてた。
「着いた。ここだよ。」
蒼真が言うと美咲は友達からもらった色紙、花束などを持ち外にでた。
「わー!すてきね~。駅から少し離れてるけどお店も近いし良い所ね。」
美咲の母、桜はそう言うと美咲も頷いた。

高校の入学式前日、美咲は夜空を見上げながら親友にメールを送った。         〈明日入学式です。めっちゃ緊張する~〉                    返信は、少したってからだった。 
 〈私もだよー。お互い友達出来るといいね。〉
久しぶりに親友とメールで話せたおかげで緊張でいっぱいだったが、落ち着けた。
                                        美咲は入学式当日、高校へと向かった。
これから三年間通う高校へと。

「着いた」
校舎の周りは新入生、それを歓迎するように満開に咲く桜がある。

校舎の前にはクラス割の表が置いてある。
表には一年B組と書いてる。
B組は一階にあった。
教室に入ると何人かの生徒たちがいた。
黒板に「この席順に座って下さい。」と書かれている。その下には座席表が貼ってあった。
「こんにちは!」
後ろから声を掛けられて振り向くと、美系の背の高い男子一人と、背は少し低めの女子が一人いた。
「私、城浦美和。えっと、清水さんだよね?」
城浦はいたずらっぽく笑いながら言った。
「…はい。えっと…」
美咲は戸惑いながら返事をした。
「あっ名札見たんだ!えへへ、ごめんね。」
「あぁ。」
なるほど。と、美咲は納得した。
「俺は奥村一輝。美和の幼馴染だ。」
隣にいた奥村は少しおとなしめに言った。
「へへへ。これからよろしく!」
城浦は明るく太陽のような笑顔で言った。
「うん。私は清水美咲。よろしく。」
美咲はその笑顔に答えるような笑顔で言った。
「あぁよろしく。」
奥村は無表情だった顔をふわりと笑顔に変えた。
「あっ。もうすぐで入学式始まるんじゃないかな?」
城浦は腕時計を見ながら自分の席へと向かった。
それと同時にチャイムが鳴り、一人の教師が入って来た。
「えー、私は君たちの担任になった角田義人だ。一年間よろしく。」
角田は軽く自己紹介するとすぐに生徒たちを廊下に並ばせ体育館へと移動した。
入学式の始まりだ。


これが美咲の長いようで短い親友との別れと出会い。
 
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