クリスマス・マジック―奇跡の夜に―
彼との待ち合わせ場所は、イルミネーションで有名なクリスマスツリーの下。


その約束は、渋る彼氏を私が言いくるめたんだけど。家でゆっくり過ごしたいと言う彼氏を押し切る形の約束。それでも承諾してくれたんだ。ロマンチックな夜を想像して、ソワソワしていた。


待ち合わせ場所に着いて周りを見渡すと、私と同じように、恋人を待つ人たちがたくさんいた。


私があこがれていた光景が、そこら中に広がっていた。周りが眩しいくらいにキラキラと輝いて見える。





「こんな日はさ、やっぱり大切な人と過ごすんだよな」


「私もそうだと思う」





日本中、いや世界中かな?たくさんの人たちに笑顔が溢れる日。


隣を見上げると、スマートにスーツを着こなした、素敵な素敵な男性が。


周りの女性たちが羨ましそうに私を見ていく。


それほどまでに、今私の隣にいる彼は目立っている。


うん、その気持ちよく分かるよ。私でも初めて出会った時に、見惚れてしまったから。


勿体ない、私の隣なんかに居るなんて。


私達はお互いに少し俯いたような姿勢で、目を合わせることなく、先ほどから会話している。


彼の目を見つめるなんて事はできない。

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