イチゴ大福


しばらくして、

もうそろそろ帰ろうと、
みんなが病室を出ていった頃…



「あーあ、帰っちゃったよ?葵!」

私はそう言いながら自分の荷物を用意してた。

外はもう暗くなりかけてて、そろそろ面会時間が終わっちゃう…

「私も帰っちゃうからね?」

そう、葵に声をかけたとき

ピクっ

…ん?

なんかいま、体が動いた気がするけど…


「ん…」


…んんん?


今、葵声出したよね?

「葵…?」

私は恐る恐る呼びかけた。


「…。」

返事がない。

「葵!」

さっきよりでかい声で、顔を近づけて呼んだ。

「………かね」

…今、葵が言ったんだよね!?

かねって

金…

金ですか…

でも、今…!

「葵!」

「…紅音…」

今度は私の名前を呼んだ。

小さい声だけど、ちゃんと。

私の顔を見て。



お、起きた…!


起きた…起きたっ!

私は慌ててみんなに連絡した。

「早く来て!起きたよっ!!」

そう、叫びながら。


もちろん、舞子さんにも。

「紅音。」

今度は力強い声で。


「葵…」

私は葵に近づく。

「ん、おはよ」

そう言った葵に、私は優しくキスをした。






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