Noisy Christmas

この矢野一という男。
入社した当日に部署を間違い私のいるフロアに紛れ込むという、なんともおっちょこちょいな奴なのだ。
探しに来た国澤に首根っこを掴まれて連れて行かれたわけだけれど。
あまりにも当たり前のような顔をしてそこにいたので、私も勘違いしてしまったくらいだった。
しかし、国澤に頭をひっぱたかれ、ズリズリと引き摺られるように連れて行かれた後も。
なんやかんやとどやされつつ、こうして今も辞めることなくめげすに会社に残っていることに対しては褒めてやってもいいかな。

国澤の話だと、お昼行ってきます。なんて言ってそのまま戻ってこない奴もいたらしいからね。

まったく、ゆとり世代か?
困った話だ。
まぁ、それはさておき。

「矢野さー。国澤をあんまり困らせないでよ」

お通しに箸をつけながらぶちぶち言う私を矢野が真っ直ぐ見てくる。

「国澤さんが困ると、咲子さんも困るんですか?」
「ん? そりゃ、困るでしょうよ。他部署からの苦情なんて冗談じゃないわよ」

それでなくても神経質なうちの課長相手に毎日気を遣ってるっていうのに、そんなことが耳に入るたびに私の査定は下がって行く一方だわ。
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