甘い恋の始め方
「……出来るだけ……そうします」

「わかった。少しずつ俺たちは変わっていこう」

悠也は仕方ないなと言うように苦笑いを浮かべて頷き、そして理子の左の薬指に指輪をはめた。

「この指輪は死んだ母の物だったんだ。サイズは少し緩そうだな。あとで直しに出そう」

「お母様は亡くなって?」

お互いに知らないことがたくさんある。

「両親は交通事故で幼い頃に亡くなったんだ。それからは叔母に育ててもらった。急だが明日、叔母に会ってほしい。そのあと理子の実家へ挨拶に行きたいんだが」

悠也は理子が社員だと知ると、彼女の履歴書は調べ済みだった。

理子はふと、どうして急にプロポーズするのか気になった。

「私たちまだデートも数回なのに……プロポーズは早くないですか?」

「実は結婚を急ぐのは理由があるんだ。育ててくれた叔母が癌になり、俺が結婚して幸せな姿を見たいと願っている。俺の身内は叔母しかいないんだ」

「叔母様が癌……」

「癌を知った叔母はそれから俺に口うるさいほど見合いを勧め、見合いがだめだと婚活パーティーに申し込んだ。それが理子と出会うきっかけになった婚活パーティーだ」

叔母の話をするときの悠也は表情が柔らかくなり、お互いが大事に思っているんだと思わせた。
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