甘い恋の始め方
「うん。うん。それの方がずっといいわ。華やかに見せなくちゃ」

理子が可愛くないとか綺麗ではないと言うわけではない。どちらかと言うと童顔の可愛い系。

まだまだこういうワンピースも似合うと思っている。

しかし、年を意識すればこういうデザインと色味の服は、ふだん着ないせいで恥ずかしい。

「モテないわけじゃないのにね~ 理子は男を見る目がないのよね」

ズバズバ言ってのける加奈は同い年の彼と婚約中。

来年のジューンブライド待ち。

「はいはい。ご婚約中の加奈さまより、私の男を見る目は劣ります」

過去の男を見てみれば、本当に見る目がないのは身に染みて分かっている。

一度付き合うと、理子は相手に尽くしてしまうタイプで、なにこれとやってあげる姉さん女房になってしまう。

そんな理子に男は安心して、浮気をしてしまう……それの繰り返しだった。

(今度は絶対に尽くすものですか。相手が見つかったらの話だけれど……)

コンパクトの鏡に映る自分を見ていると、加奈が心配げに口を開く。

「私が一緒に付いて行って、アドバイスしてあげたいくらいだわ」

「冗談でもやめてよ。いちいち口出されたら余計に見つからなくなるわ」



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