甘い恋の始め方
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ランチから戻るとすぐに会議が始まり、終わったのが19時だった。

デスクの上に置きっぱなしのスマホを確認する。

不在着信に「悠也」の名前。「悠也」の名前を見ただけで、心臓が大きく跳ねた。

(かけてきた……)

理子は部屋を出て、急ぎ足で給湯室へ行った。

悠也に電話をかけるのだが、それだけで足が震える。

数回の呼び出し音ののち、深みのある低音の声が聞こえた。

『理子さん』

「着信が……」

『ええ。食事の誘いです。これからいかがですか?』

「え……っと、はい。大丈夫です」

『まだ会社ですか? 近いようなら迎えにいきましょう』

(それだけは無理ですっ。やっぱり久我副社長は車で通勤しているんだわ)

「しょ、職場は恵比寿なんです。お店を言ってもらえれば行きます」

同じ会社だとは言えない理子は頭に浮かんだ場所を言った。

『出会ったレストランに予約を入れてあります。そこまで来られますか?』

「はい。20時には行けると思います」

「では楽しみにしています」

電話が切れた。

(これからデート……?)

今の会話を思い出していると、ハッとなる。

(こんなことしてられないわ)

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