恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


「高校の頃、和泉くんが好きだったのは本当だし、再会した時そういう気持ちが蘇ったのは否定しない。
でも私が今好きなのは、今目の前にいる和泉くんだよ」

一緒に暮らしているうちに、和泉くんの色んな一面を知った。

冷たそうに見えて、意外と面倒見のいいところ。
口調は厳しいけど、実はすごく優しいところ。
頑固なところ。

賞味期限を確認しないで冷蔵庫の牛乳を飲んじゃったり、ゴミは分別が分からないととりあえず燃えないゴミに分別しちゃったり。
そういう意外とおおざっぱなところ。
かと思えば、本棚に並んでいる本の並び順は決まってたり、意外なところは細かくて神経質で。

新しく知ったところは、挙げていけばきりがない。

「私は……昨日、和泉くんだから抱いて欲しいと思ったんだよ。
他の誰でもない、今私の前にいる和泉くんだから……。
和泉くんが好きだから」

たくさん知った、和泉くんのいい部分とそうとは言えないかもしれない部分。
そういうところを、全部愛しいと思う。

それは、昔の和泉くんにじゃない。
今、目の前にいる和泉くんにだ。


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